- いびきをよく周囲から指摘されるけど、自分のいびきは病気?
- いびきを放置すると危険って本当?
このような慰問をお持ちの方も少なくないでしょう。
睡眠中にさまざまな理由で気道が狭くなり、呼吸によって空気が通過する際の狭窄音がいびきであるため、一概に「いびき=病気」とは言えません。
しかし、重度のいびきが継続してしまうと、身体が睡眠中低酸素状態に陥り、さまざまな健康被害や睡眠の質の低下をきたすため注意が必要です。
この記事では、自分のいびきの状態がどれほどの危険度か簡易的にセルフチェックできるチェックリストを紹介します。この記事を読むことで自分のいびきの重症度を認識でき、早期対策できるようになるためぜひご一読ください。

2009年に群馬大学医学部医学科を卒業以降、関東圏の循環器病院で勤務。現在は、Myクリニック本多内科医院の院長を務める。担当は内科・循環器内科。いびき、睡眠時無呼吸症候群のプロとして日々臨床に取り組む。累計、300人以上のいびき、睡眠時無呼吸症候群の患者を担当。
一般社団法人 いびき無呼吸改善協会
いびきのセルフチェック|今すぐできる簡単診断リスト
いびきのリスクや危険度をセルフチェックするための項目は下記の19個です。日々の生活や自身の状態を思い返して、いくつ当てはまるかをチェックしましょう。
- 周囲からいびきを指摘されることが多い
- 夜間にいびきで目を覚ましたことがある
- 朝起きた時に爽快感がなく、眠気や倦怠感が強い
- 眠りが浅く、夜中に頻回に起きてしまう
- 起床時に喉や口腔内がとても乾燥している
- 日中、異常に強い眠気に襲われることがある
- 日中に集中力や記憶力を維持できない
- 暴飲暴食をする機会が多い
- 寝る前に飲酒や喫煙をする
- 最近体重が増えた、もしくは元々太っている
- 過労でストレスが溜まっている
- 鼻詰まりや風邪をひいている
- 首が太く短い
- 顎が小さい
- 喉に痛みを伴い腫れている
- 更年期障害を患っている
- 高血圧や糖尿病・高脂血症などの生活習慣病を発症している
- 心疾患や脳卒中の既往がある
- 男性である
いびきの危険度チェック|あなたのいびきはどのレベル?
上記の項目に該当する個数が多ければ多いほど、いびきの危険度は高いと言えます。
ここでは、当てはまる項目が4個以下であれば軽度、5〜10個であれば中程度、11〜19個であれば重度と分類して、それぞれのリスクについて紹介します。
軽度|0個〜4個当てはまる場合
該当する項目が0〜4個であった方は、いびきの程度は軽度です。
普段ほとんどいびきをかかないか、かいても一時的に認めるだけで、基本的に継続していびきを認める方ではないでしょう。アルコールを飲んだ時や、疲れが溜まっていて久しぶりにぐっすり寝れた夜だけいびきを認めるケースが多いです。
これくらいの程度であれば、何らかの健康被害や睡眠の質の低下を認める可能性は非常に少なく、特別な対策は不要と言えます。
一方で、「日中、異常に強い眠気に襲われることがある」や「集中力や記憶力が維持できない」などの項目に該当する場合、たとえ当てはまる項目が4個以下であっても、危険ないびきの可能性があります。
これらの症状を認める場合、一人暮らしなどを理由に自身のいびき状態を的確に評価できていない可能性もあり、チェック項目を過小評価している可能性もあるため、注意が必要です。
また、生活習慣の乱れや体重増加・加齢などによっていびきは悪化しやすく、今は当てはまる項目が少なくても、時間の経過とともに増加する可能性もあるため、生活習慣に気をつけつつ、定期的にセルフチェックを行いましょう。
中程度|5個〜10個当てはまる場合
該当する項目が5個〜10個であった方は、いびきの程度は中程度です。
普段からある程度のいびきを認め、家族や友人から指摘されることでいびきを自覚されている方も多いのではないでしょうか。
特に、就寝直前の暴飲暴食や飲酒・喫煙などの生活習慣を送っている方や、元々顎が小さい・首が太くて短いなどの解剖学的要因で気道が狭くなりやすい人は中等度のいびきを認めやすいため、注意が必要です。
また、このような体型でなくても、アデノイドや扁桃肥大、副鼻腔炎や鼻茸などの耳鼻咽頭科疾患を発症すると、急激に気道が狭くなり、いびきをかきやすくなることもあります。
中程度の状態が続くと、睡眠の質の低下や日中の強い眠気などによって、仕事や学業などの日常生活にさまざまな悪影響を及ぼすため、早期改善が必要です。
中程度であれば、特別な治療を行わなくても肥満の改善や生活習慣の改善、使用している寝具の見直しなど、セルフケアによって改善可能なため、ぜひこれを機に実践してみると良いでしょう。
重度|11個〜19個当てはまる場合
該当する項目が11個〜19個であった方は、いびきの程度は重度です。
自身でもいびきを自覚し、いびきの音や寝苦しさのせいで毎晩のように途中目が覚めてしまい、熟睡できない日々を過ごしてる方も少なくないでしょう。
重度のいびきは自身の睡眠の質の低下や健康状態の悪化はもちろんのこと、一緒に眠る家族やパートナーの睡眠まで妨害するため、早期に改善させる必要があります。
特に「日中、異常に強い眠気に襲われることがある」に該当する方は、睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性が高いため、要注意です。
夜間、いびきによって十分な酸素を身体や脳に取り入れることができず、十分な睡眠を得られなくなることで日中に強い眠気を感じます。
さらに、この状態が長期化すると持続的な低酸素状態に伴うストレスによって交感神経が活性化し、高血圧や糖尿病・心疾患や脳卒中の発症リスクが増大することが知られており、長期的に見て生命を脅かすリスクがあります。(参考文献:MSDマニュアル家庭版)
セルフケアでの改善も重要ですが、重度のいびきの場合は医学的な治療が必要となる可能性が高いため、早急に病院を受診していびきの治療を受けるべきです。
こんな症状があれば要注意!危険ないびきのサインとは?
発熱や腹痛など、明らかに異常と自覚できる症状とは異なり、いびきは生理現象の1つのように捉えられることも少なくないため軽視されがちです。
しかし、先述したように重度のいびきが続くと心房細動などの心疾患や脳卒中などの致死的な疾患の発症リスクが増大してしまうため、危険ないびきを見極めて早期から対処する必要があります。
危険ないびきのサインは主に下記の通りです。
- あえぎ呼吸や窒息感を伴ういびき
- 時折無呼吸を伴ういびき
- 朝まで継続するいびき
- 仰向けになると悪化し、横向きになると改善するいびき
上記のようないびきが毎晩のように継続している場合は、睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性がとても高いため、注意が必要です。
また、上記のようないびきに加え、日中の強い眠気や起床時の頭痛などの症状を認める場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性がさらに高まります。
一方で、日本呼吸器学会の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」によれば、睡眠時無呼吸症候群を最も疑う自他覚症状は「睡眠中の窒息感やあえぎ呼吸の存在」としているものの、これらの症状単独で睡眠時無呼吸症候群を診断することは困難と結論づけています。
上記のようないびきを認めた場合、診断のためにも必ず医療機関を受診し、専門的な検査を受けるようにしましょう。
【まとめ】まずはセルフチェックで自分のいびきの状態を把握しよう
この記事ではいびきの危険度を知るためのセルフチェック方法を紹介しました。
いびきはさまざまな要因で生じ、またその程度によって身体に与える影響も異なるため、自身のいびきがどれだけ危険度を伴うのか、自覚することが重要です。
今回のセルフチェックで該当する項目が多かった方は、自身でのセルフケアはもちろんのこと、医療機関を受診して適切な診断・治療を受けることを勧めます。
また、該当する項目が少なかった方も、時間の経過によっていびきの状態は変化していくため、定期的にセルフチェックを行い、早期発見に努めましょう。
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