いびき対策にマウスピースは効果ある?仕組みやデメリットを解説

  • いびきにマウスピースが効果あるって本当?
  • いびき対策にマウスピースが効果的な理由は?

このような疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。

結論から言うと、マウスピースを装着することで舌や下顎の位置が適正に保たれると、いびきが改善する可能性があります。一方で、いびきの原因によっては、必ずしも効果が得られる治療法ではないです。

この記事では、マウスピースがいびきに効果を持つ仕組みやデメリット、実際の体験談について紹介します。この記事を読むことでマウスピースに対する正しい知識が深まり、適切に使用することで安全にいびきの解消を目指すことができるため、ぜひご一読ください。

この記事の監修者
dr-honda

本多 洋介 医師

2009年に群馬大学医学部医学科を卒業以降、関東圏の循環器病院で勤務。現在は、横浜市神奈川区にある「Myクリニック本多内科医院」の院長を務める。担当は内科・循環器内科。いびき、睡眠時無呼吸症候群のプロとして日々臨床に取り組む。累計、300人以上のいびき、睡眠時無呼吸症候群の患者を担当。

一般社団法人 いびき無呼吸改善協会

目次

いびき対策にマウスピースは効果ある?仕組みとは?

マウスピースを装着することで口腔内の解剖にさまざまな変化をもたらし、結果としていびきの改善に寄与します。

なお、マウスピースは歯科医院で作る医療用マウスピースと市販品に分類でき、それぞれの入手方法や費用相場は下表のとおりです。

項目/種類医療用マウスピース市販品
入手・作成方法歯科医院で型取りを行う熱湯などで自身で成形する
費用相場1万円〜2万円程度
+メンテナンス費用
1,000円〜3,000円程度が多い
フィット感自身の歯列や骨格に合わせて最適化される個人差があり、緩くなることも少なくない
アフターフォロー専門医が常に対応してくれる購入以降、自己管理のみ
効果より高い効果が期待できる一定の効果は期待できる

このように、市販品と医療用マウスピースではそれぞれにメリット・デメリットがありますが、骨格や歯列に合わない市販品の使用は合併症リスクも高いため、注意する必要があります。

マウスピースのいびき対策の効果としては、以下の5つが挙げられます。

下あごを前方に固定して気道を広げる

マウスピースがいびきに有効な理由として、下あごを前方に固定して気道を広げる効果が挙げられます。

本来、ヒトの睡眠中の呼吸様式は鼻呼吸が主ですが、中には何らかの原因で口呼吸の割合が増加してしまう方もいます。口呼吸の場合、鼻呼吸と異なり吸い込む空気が加温・加湿されず、乾燥して冷たい空気が気道に流入するため、気道に炎症を伴いやすく注意が必要です。

さらに、吸気時に開口する際、下顎が後下方に移動し、さらに後方に位置している気道を狭窄させるため、いびきをかきやすくなることが知られています。

マウスピースを装着することで、仮に口呼吸を行ったとしても下あごが前方に固定されるため、後方の気道の狭窄を抑制でき、いびきを改善することができます。

実際に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020では、マウスピースを用いた装具療法はエビデンスレベルB(効果の推定値に中程度の確信がある)とされており、CPAP治療の適応とならない軽〜中等度の症例、あるいはCPAP治療が使用できない症例が良い適応です。

舌の沈み込みを防ぐ

マウスピースがいびきに有効な理由として、舌の沈み込みを防ぐ効果が挙げられます。睡眠中、全身の筋肉が弛緩しますが、舌も弛緩することで後方に位置している気道の方向に落ち込んでしまい、気道が狭窄する事でいびきの原因となるため、注意が必要です。

弛緩した舌は重力の影響を受けて移動するため、特に仰向けで寝る人の場合、重力に伴って後方に移動しやすく、舌後方に位置する気道が狭窄しやすくなるため、横向き寝やうつ伏せ寝よりもいびきをかきやすい体位です。

それに対し、マウスピースを装着することによって口腔内の筋肉を鍛えることができ、口腔内において舌を正しい位置に置けるようになるため、舌の沈み込みを予防できます。

特に、舌の位置が低い(低舌位)人には有効な改善策となり得る可能性があるため、低舌位の人によくある特徴である、舌の側面に歯型がつく、口がぽかんと開いている、滑舌が悪いなどの特徴を持つ方でいびきにお悩みの場合はマウスピースでの治療を検討すると良いでしょう。

鼻呼吸を促す

マウスピースがいびきに有効な理由として、鼻呼吸を促す効果が挙げられます。

マウスピースを装着することで、口腔内の上蓋部分(これを口蓋と呼ぶ)に舌が押し当てられるように位置を矯正されます。その結果、下顎が高い位置に固定されるため、口が開きにくくなって自然と口呼吸の割合が減少し、鼻呼吸が促されるのです。

先述したように、口呼吸は下顎が後下方に移動することで後方に位置する気道を狭窄させたり、寒冷乾燥した空気を吸い込むことによる気道の炎症によって気道狭窄が生じ、いびきを起こしやすくする呼吸法です。

一方で、鼻呼吸の場合は気道に優しい空気を吸い込むことができ、下顎による気道狭窄も生じにくいため、口呼吸と比較していびきが生じにくくなります。

また、口呼吸によるいびきの場合は口腔内が乾燥することで口臭の原因になりますが、鼻呼吸を促すことでいびきの改善はもちろんのこと、口臭の改善も同時に目指せるため、口臭にお悩みの方にもおすすめの治療法です。

睡眠の質の向上

マウスピースがいびきに有効な理由として、睡眠の質の向上が挙げられます。

そもそもいびきは、狭窄している気道に空気が流入する際に生じる気道粘膜の振動音であり、いびきをかいているということは、それだけ取り込める空気や酸素の量が少ないような状態です。そのため身体や脳が十分に休めるほどの酸素を睡眠中に取り込むことができず、睡眠の質が低下してしまいます。

さらに、空気を吸い込む際に横隔膜が下方に移動し、胸腔に陰圧をかけることで肺を広げていますが、いびきを認める方の場合は空気がうまく流入しないため、肺が広がず、胸腔に過剰な陰圧がかかります。

その刺激は覚醒中枢を刺激し、就寝中の中途覚醒(途中で起きてしまうこと)が増加することでも睡眠の質は低下するため、注意が必要です。マウスピースを装着すれば気道が広がり、これらの問題が解消されることで、睡眠の質の向上を目指せます。

さらに、睡眠の質の低下によるストレスは歯ぎしりの原因ともなるため、マウスピースを装着すれば歯ぎしりによる物理的な歯への負担を軽減できるだけでなく、歯ぎしりの出現そのものを予防する効果も期待できます。

家族のストレス軽減

マウスピースを装着していびきが改善すれば、家族のストレス軽減という副次的な効果も得られます。

音の大きさを表す際にはdB(デシベル)と言う単位が用いられますが、いびきの音は一般的に50〜60dBと言われており、これは洗濯機や掃除機の駆動音と同程度であり、隣で寝る家族にとっては十分な騒音です。

さらにいびきがひどい場合、いびきの音は80dBにまで達し、これは救急車のサイレンに匹敵します。この音が一晩中家族の脳を刺激してしまうため、睡眠の質が著しく低下し、中途覚醒や入眠困難など、さまざまな睡眠障害の原因となるため、注意が必要です。

睡眠障害は家族の身体にとってもストレスとなり、長期化すれば高血圧や高血糖、脳血管障害や心血管疾患の発症リスクを増大させる可能性もあります。

マウスピース装着でこれらの問題が解決される可能性があるため、自身の睡眠を守るだけでなく、家族の健康を守るためにも、マウスピース装着を検討すると良いでしょう。

いびき対策でマウスピースを使う際のデメリットは?

ここまでマウスピースの効果や仕組みを解説しましたが、残念ながらマウスピースはいびき改善のための万能グッズではありません。

いびきの原因によっては効果を得られないばかりか、最悪の場合、さまざまな合併症を招く可能性があるため、注意が必要です。

ここでは、いびき対策でマウスピースを使う際のデメリットを5つ紹介します。

顎や歯に負担がかかる場合がある

いびき対策でマウスピースを使う際のデメリットとして、顎や歯に負担がかかる場合があります。

歯科専門医のもとで作製したマウスピースであれば比較的安全に使用できますが、自己判断で購入した市販のマウスピースを用いる場合、自身の顎の骨格や歯列に形が合わず、顎や歯に負担がかかることでさまざまな合併症を招く可能性があるため、注意が必要です。

実際に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020でもマウスピースの副作用についてさまざま報告しており、下表の通りです。

短期的な副作用唾液過多・唾液減少・歯や歯肉の疼痛や違和感・起床時の咬合異常、筋や顎関節の違和感
長期的な副作用歯の移動とそれに伴う咬合異常

短期的な副作用は一般的に一時的なものであり、時間の経過とともに改善することがほとんどですが、長期的な副作用は場合によって不可逆的な変化となることもあるため、注意が必要となります。

そのため、不可逆的な変化が生じる前の、短期的な副作用の段階で何らかの対策を講じることが重要です。
なお、顎関節症や歯の欠損が多い人は、マウスピースを装着しても土台が不安定であるため、うまく機能しない可能性があり、マウスピース治療において不向きであることを知っておきましょう。

慣れるまで違和感を感じる場合がある

いびき対策でマウスピースを使う際のデメリットとして、マウスピースに慣れるまで違和感を感じる場合があります。マウスピースは自身の顎や歯列に合わせて作製されますが、完全にピッタリとフィットした形ではなく、理想的に矯正したい形に作られるため、若干のずれがあります。

そのため、先述したようにマウスピースは短期的に歯や歯肉の疼痛や違和感が生じることが多く、最悪の場合はかえって睡眠の妨げになる可能性もあるため、注意が必要です。
具体的な症状として、歯の締め付け感、歯や歯茎の痛み、これまでにない噛み合わせの違和感、喋りづらさなどが挙げられます。

一方で、多くの場合これらの症状は一過性であり、装着から数日〜数週間で自然と慣れていき、違和感は解消されていくことが多いです。

違和感が長引く場合や、我慢できないほどの痛みを感じる場合、なんらかの合併症をきたしている可能性もあるため、我慢せずに歯科医師に相談をすることが大切ですが、この際、市販グッズを使用している場合は十分なケアを受けられない可能性もあるため、注意が必要です。

フィットしないと効果が出にくい

いびき対策でマウスピースを使う際のデメリットとして、フィットしないと効果が出にくいという点が挙げられます。

マウスピースは自身の顎や歯列にフィットしていないものを使用すると、想定した矯正力を得ることができず、歯の移動が不十分になったり、感じる必要のない痛みが生じてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

フィットしない要因としては、装着方法や装着時間が不適切、管理方法が不適切、歯の形状に対してマウスピースの形が不適切などの要因が挙げられます。

市販のマウスピースは各個人の骨格や歯列に合わせて作られたものでなく、広く多くの人に合うような形で作られているため、人によってはフィットしない可能性が高いです。

そのため、可能な限りオーダーメイドタイプのマウスピースを作製し、自身の骨格や歯列にフィットするものを使用した方が効果・安全性ともに高い傾向にあります。

定期的なメンテナンスや自己管理に手間がかかる

いびき対策でマウスピースを使う際のデメリットとして、定期的なメンテナンスや自己管理に手間がかかる点が挙げられます。

マウスピースは購入後にただ装着し続ければいいというものではなく、市販であっても歯科医で作製したものであっても、定期的にメンテナンスしたり自己管理を徹底することが重要です。

例えば、自己管理では使用後の水洗いや洗浄剤を使用しての洗浄、歯ブラシでの洗浄、清潔な状態での保管など、さまざまな手間が必要となります。
さらに、マウスピースはあくまで消耗品であるため、摩耗や消耗の程度に合わせて適宜新品への交換も必要です。

これらは自身で購入した市販のマウスピースであれば必ず行うべきメンテナンスですが、仮に歯科医で作製したマウスピースであっても、同様のメンテナンスが必要です。

また、歯科医で作製したマウスピースを使用する場合、状態の確認や手入れなど受けるために定期的に歯科医に通院する必要があり、その都度5,000円〜10,000円(自費の場合。保険適応でも数千円)のメンテナンス費用がかかります。

根本原因によっては効果が限定的になる

いびき対策でマウスピースを使う際のデメリットとして、根本原因によっては効果が限定的になる点が挙げられます。ここまでの話からも分かる通り、マウスピースは舌や顎の位置を調整することで気道を広げていびきの改善に寄与する治療法です。

しかし、いびきの原因が他にある場合、仮にマウスピースを装着したとしても思ったような効果は得られない可能性があります。

例えば、肥満で首周りに脂肪が蓄積していることで気道が圧排されて狭窄している場合、たとえマウスピースを装着して気道が多少開いても、圧排されている部位にアプローチできていなければ意味がありません。

他にも、鼻づまりや鼻炎、慢性副鼻腔炎などの耳鼻科疾患によって生じる鼻いびきの場合、仮にマウスピースを装着しても鼻腔の狭窄は解除されないため、いびきの改善は期待できません。

このように、マウスピースがどれくらい効果を示すかはいびきの原因によっても異なるため、原因を見極めた上で適した対策を講じることが重要です。

マウスピースでいびきが改善しないときの対処法

ここまでも示したように、マウスピースは確かにいびきの改善に寄与しますが、いびきの原因によっては効果が出ない、もしくは限定的な可能性があります。

そこで、マウスピースでいびきが改善しないときは下記のような対処法を実践しましょう。

マウスピースの適合性を再確認する

マウスピースでいびきが改善しないときは、まず初めにマウスピースの適合性を再確認することが重要です。マウスピースが自身の歯列や顎の骨格にあっていない場合、うまくフィットせず、期待しているような効果を得られない可能性があります。

特に、市販で購入したマウスピースの場合はそもそもの形が自身の骨格にあっていない可能性があるため、注意が必要です。また、最初はフィットしていても、時間の経過とともにマウスピースが劣化・摩耗し、フィット感が失われていく可能性もあるため、適合性を定期的に確認することが重要です。

歯科医院で作製したマウスピースであれば、作製後もマウスピースの状態や口腔内の状態を専門の歯科医が定期的にチェックしてくれるため、市販のマウスピースで自己管理するよりも安心ですが、それでも適合性が失われて再作製する必要が出てくる可能性もあります。

生活習慣・睡眠環境の見直し

マウスピースでいびきが改善しないときは、生活習慣・睡眠環境の見直しも重要です。実は生活習慣や睡眠環境はいびきの発症に強く関与しており、どんなにマウスピースをつけて改善を目指しても、根本的に生活習慣・睡眠環境が不適切な場合、十分な改善が得られない可能性があります。

特に、下記のような生活習慣・睡眠環境に当てはまる方は改善すべきです。

  • 就寝直前までの暴飲暴食
  • 過剰な飲酒や喫煙
  • 運動不足
  • 睡眠薬の常用
  • 高すぎる枕や柔らかすぎるマットレスの使用
  • 寝室が過剰に寒冷・乾燥

暴飲暴食や運動不足は肥満を招き、首周りに脂肪が蓄積することで気道が狭窄します。過剰な飲酒や喫煙、睡眠薬の常用は舌の筋肉が弛緩し、舌根沈下を引き起こしやすくなるため、いびきの原因です。

高すぎる枕や柔らかすぎるマットレスの使用は頭部と体幹の高低差が生まれ、結果的に頸部が過剰に屈曲することで気道が狭窄します。

最後に、寝室が過剰に寒冷・乾燥している場合は気道に炎症が起こりやすく、炎症に伴う浮腫で気道が狭窄します。
これらの要因はどれも気道狭窄の原因となり、結果的にいびきの発症リスクを増大させるため、注意が必要です。

舌トレーニングを取り入れる

マウスピースでいびきが改善しないときは、舌トレーニングを取り入れることも重要です。舌トレーニングとは、その名の通り舌の筋肉を鍛えることで舌の筋力の維持・向上や、不適切な位置にある舌の適正化などの効果を得られ、いびきの改善が期待できます。

具体的には、下記のようなトレーニングが挙げられます。

  • あいうべ体操:口を「あ~」「い~」「う~」「べ~」の発声の際と同様に動かし、舌や口・顔面の筋肉を鍛える
  • 舌を上下左右に大きく動かす運動:舌を上下方向と左右方向に動かすことで、舌や口周囲の筋肉を鍛える
  • 舌を前に突き出す運動:舌を前に思いっきり突き出すことで舌や口周囲、顔面全体の筋肉を鍛える

どの運動もゆっくり、大きく舌を動かし、毎日3セットを反復的に実施することで徐々に効果が得られるトレーニングです。即効性があるわけではないので、効果が得られるまでは数週間、継続して行うことが重要です。

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睡眠外来・耳鼻咽喉科で検査を受ける

マウスピースでいびきが改善しないときは、睡眠外来・耳鼻咽喉科で検査を受けることも重要です。いびきの原因は気道狭窄であり、気道狭窄を引き起こす原因は多岐に渡るため、原因によってはマウスピースの装着だけでは改善できない可能性があります。

特に下記のような場合はマウスピースだけでの改善が困難であり、注意が必要です。

  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
  • 鼻茸・慢性副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎・鼻中隔湾曲症・アデノイド・扁桃肥大などの耳鼻科疾患
  • 小顎・巨舌などの骨格的な問題

これを見るとわかる通り、いびきの原因の多くは鼻腔や口腔の問題であるため、マウスピースでも改善しないいびきを認める方は睡眠外来・耳鼻咽喉科を受診することがおすすめです。

睡眠外来・耳鼻咽喉科では、問診やCTなどの画像検査を実施して根本原因を特定し、その上で各原因にあった適切な対応・治療を行います。

CPAP・レーザー治療の検討

マウスピースでいびきが改善しないときは、CPAPやレーザー治療を検討する必要があります。マウスピースでいびきが改善しない場合は、いびきの程度がよほど重度か、もしくはいびきの原因となる気道狭窄が鼻腔で生じている可能性が高いです。

例えば、鼻茸・慢性副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎などの耳鼻科疾患では鼻腔が狭窄することで鼻いびきが生じますが、マウスピースでは鼻腔を広げることはできないため、改善のためにはレーザー治療によって腫脹した鼻粘膜を焼却する必要がある場合もあります。

また、重症の睡眠時無呼吸症候群における治療の第一選択はCPAP療法であり、マウスピースでは改善困難ないびきも改善できる可能性があります。CPAP療法は、特殊なマスクをつけることで睡眠中の気道に空気を送り込み、その空気によって気道を押し広げることでいびきの改善を目指す治療法です。

どちらの治療も、やはり睡眠外来・耳鼻咽喉科で診断を受ける必要があるため、まずは医療機関に受診すると良いでしょう。

いびき対策でマウスピースを試した方の体験談と改善事例

いびき治療は人によって原因も、治療の経過も千差万別です。マウスピースだけで改善が得られる人もいれば、なかなか改善が得られず、結果的に他の治療でようやく改善できる人もいます。

さまざまな人の経過を知ることは自身のいびき改善にも役立つため、ここではいびき対策でマウスピースを試した方の体験談と改善事例を3つ紹介します。

40代男性:市販のマウスピースとセルフケアで改善した事例

40代男性のAさんは多忙なサラリーマンで、夜遅くに食事や飲酒をする機会も多く、ここ数年で体重も大幅に増加傾向でした。一緒に暮らす家族からは「ここ最近いびきがかなり酷く、たまにうるさくて眠れない日がある」と指摘され、子供に言われたことで大変ショックを受けたそうです。

そこで、いびき改善のために色々とネットで調べたところ、ダイエットや睡眠環境の改善が重要であることを知り、その日から食生活の見直しや枕の買い替えなどを行いました。しかし、すぐに体重が減るわけもなく、すぐには改善を得られなかったため、市販のマウスピースを購入したところ、比較的即効性のある効果が得られました。

いびきは軽減しましたが、マウスピースなしではやはりいびきを認めたため、それ以降もダイエットを継続し、体重が以前と同程度まで減量した頃には、マウスピースなしでもいびきをほとんど認めなくなったそうです。それ以降、自身や家族の睡眠を守るためにも生活習慣に十分気を使って生活するようになったそうです。

20代女性:歯科で作製したマウスピースで改善した事例

20代女性のBさんは会社員として健康的に生活しており、これまで大きな病気などにかかったこともなく、顎が小さく小顔美人として知られる女性でした。しかし、彼氏と旅行に行った際に「Bさんもいびきをかくんだね」と言われたことで、人生で初めて自分がいびきをかくことを自覚しました。

そのことに大変ショックを受けてセルフケアでの改善を目指しましたが、もともと細身で生活習慣も健康そのもの、鼻の通りもよく、どうすれば改善できるのかわからなかったため、医療機関を受診したそうです。

医療機関で精査したところ、生来の小顎が影響して気道が狭窄されやすくなっているため、マウスピースでの治療を勧められ、歯科で専用のマウスピースを作製する運びとなりました。

マウスピース作製後、最初は違和感があったものの徐々に慣れ、スマホで録音したいびき音も改善を認めたそうです。
人前で寝ることに対する恐怖心も薄れ、もっと早く治療すればよかったと感じたそうです。

30代男性:マウスピースでは効果なく、レーザー治療で改善した事例

30代男性のCさんはこれまで大きな病気もなく、健康に過ごしてきましたが、以前から季節によって鼻詰まりや鼻汁を自覚していました。妻からは「いびきがうるさくて寝苦しそう」と言われ、実際に起床時に倦怠感を感じたり、睡眠中に目覚めてしまうことも少なくありませんでした。

日中に眠気や集中力の低下を認め、仕事にも支障が出ていたため、改善のために市販のマウスピースを購入し、装着しましたが、全く症状が改善しないところか、口腔内の違和感でさらに睡眠の質が低下したそうです。

そこで、耳鼻咽喉科を受診したところ、いびきの原因は口腔内にはないため、マウスピースでは意味がなく、慢性鼻炎が原因であるため、レーザー治療を勧められたそうです。

実際にレーザー治療を受けると、術後数日は鼻閉感を認めたものの、数日経過すると腫れが引き、一気に通気性が改善し、同時にいびきも認めなくなりました。さらに、熟睡感も得られるようになり、日中の集中力も向上したため、医療機関でちゃんと治療してよかったと感じたそうです。

【まとめ】マウスピースでいびきが改善しない場合は専門医に相談を

この記事では、マウスピースがいびきに効果を持つ仕組みやデメリット、実際の体験談について解説しました。

マウスピースは舌の位置の最適化や下顎を前方に固定することで気道の開通性を向上させ、いびきを改善させる効果を持ちます。
一方で、必ずしもどんな人にも有効な治療法ではなく、原因によっては十分な効果を得られない可能性があります。

また、マウスピースによって改善しうるいびきであったとしても、自身の顎や歯列に合わないマウスピースを装着すると、さまざまな合併症を招く可能性があるため、注意が必要です。

いびきを放置すればさまざまな健康被害を招く可能性が高まることが知られており、マウスピースの適応や作製も含めて、まずは医療機関に受診し、いびきの原因とそれに見合った適切な治療法を選択することが重要です。

下記の記事では自身のいびきの危険度を簡単にセルフチェックできるため、「自分は病院に行くほどのいびきではないのでは?」とご不安の方は、ぜひご一読ください。

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